動悸で眠れない
ストレス?心臓のトラブル?自己判断は危険
心臓がドキドキして眠れない原因として、代表的なところでは睡眠不足や過労をはじめとした生活習慣やストレスがよくあげられます。
ほかにも、何か不安なことがあって眠れない夜もあるでしょうし、精神的な問題のために自律神経にトラブルが生じている可能性も考えられますね。
「最近疲れているのかな」「仕事が忙しいせいかも……」などと原因を自己判断し、きちんと調べずに済ませてしまう方も多いはず。しかし、それで本当に大丈夫なのでしょうか?
心臓がドキドキする(動悸)というのは、れっきとした心臓のトラブル。もちろん、上記のような原因で一時的に生じているだけのケースも多いのですが、場合によっては命に関わることもあるのです。特に呼吸困難や意識障害、息切
れといった随伴症状が見られる場合は心疾患を疑う必要があります。
この症状に悩んでいる方は、何が原因なのか、どんな病気の可能性があるのかを考えた上で、適切な診療科の医師に診断してもらうようにしましょう。
意外に多い? この症状の体験談
心臓の音が大きく、全身が
どくどく感じて眠れません。
あまりに気になり不安になる時もあります。
その際、脈を測ってみると
決して早いわけではないのです。
あと、朝目覚めるときも動悸がします。
このときは、実際に脈も早めです。
日中動いてたり、他のことに集中してるときは
気にならないのですが、睡眠に影響がでてしまっています。
寝る時や起きる時に心臓の音が気になって眠れないという体験談。「心臓の病気かもしれない」「命の危険があるかもしれない」という不安を抱えたままでは、眠れないストレスと動悸による不安の悪循環に陥ってしまいますね。
昨夜、不規則で強い動悸で眠りにつくことが困難でした。朝、目が覚めましたが、心臓付近の筋肉が痛く、その感じは夕方まで続いています。
心臓付近の痛みが続いたというのは、狭心症の症状ではなさそうです。痛みと不整脈の関連性は不明ですが、原因のわからない異常に関しては、早めに医師に相談するのが良いでしょう。
動悸で眠れない原因は何か?
「動悸で眠れない」原因は実に様々。医師の診察や検査によって診断がつく病気が潜んでいる場合もあれば、そうでない場合もあります。
病気がはっきりと特定される場合には、甲状腺機能の異常による不整脈や、低血糖といった明らかな動悸の原因があります。当然、それぞれの病気に対応した治療を受けることで、動悸の症状も収まっていくことでしょう。
しかし一方で、明確な原因・病気が特定できないケースもあります。睡眠不足やストレス、精神的な不安が原因で引き起こされる動悸がこれにあたります。こういった場合でも、動悸という身体症状を生じるほどの状態になっているわけですから放置は禁物。眠れないことでストレスの悪循環に陥り、うつ病をはじめとする精神疾患が進行してしまうかもしれません。もし軽度であったとしても、問題を解決しないことには悩みは解決されないはずです。
いずれにせよ、自分に生じている動悸の原因に合わせた診療科の医師に診断してもらうことが重要です。安易な自己判断で症状を放置した結果、動悸を引き起こしていた病気が悪化してしまったり、最悪の場合は狭心症・心筋梗塞によって命を落としてしまう可能性も考えられます。
とはいえ、実際のところ病院に行くかどうかの判断は難しいもの。一旦症状が治まってしまうと、なかなか医師にまで相談しようとは考えにくいものです。
そこで、特に危険な状態の目安として、以下のチェックリストを紹介しておきます。これらの項目のうち、一つでも当てはまるようなら、すぐにでも病院を受診するようにしてください。
- 胸が締め付けられるような痛みがある
- 冷や汗がでる
- 気が遠くなる感じ(意識を失いそうな感じ)がある
- 横になると症状が強くなるので、座る方が楽
- 吐き気がでる
もちろん、これらの症状がなくても、少しでも心配なら医師に診てもらうべきです。軽い症状であっても改善が見られず繰り返すようであれば気がかりですし、医師の診断を受けて「何もなかった」と安心できるのであれば、それが一番。まずは一度、病院で気軽に相談してみましょう。
この症状の原因となる病気
パニック障害
何の前兆もなく、急に心臓がドキドキして眠れないという場合、パニック障害の可能性が考えられます。ひどくなると日常生活に支障が出ることもあるため、医療機関の受診が必要です。
症状
心臓がドキドキする動悸の症状やめまい、発汗、手足の震えなどの症状が、特にきっかけもなく起こるのが特徴。時間がたてば自然に収まりますが、いつ症状に襲われるかわかりません。そのため、外出にも恐怖を感じてしまい、生活に支障が出てしまうこともあります。
原因
脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることが原因と考えられています。また、カフェインやアルコールといった物質が症状を引き起こすことも。
なりやすい人の傾向
パニック障害はどんな人にも発症の可能性がありますが、遺伝的な要素もあると考えられています。そのため、近親者でパニック障害の症状を持つ人がいる場合は、発作が起きる可能性は他の人と比べて高いと言われています。
治療法
一般的に、薬物療法と精神療法で治療が行われます。薬物療法によって発作を抑制し、発作が落ち着いてきた頃に、精神療法を併用して少しずつ外出などに挑戦するといったことが行われます。
予防法
一度発作が起こってしまうと、次の発作への不安がさらに発作を誘発したり、恐怖心から外出できなくなってしまったりします。そのため、発作が起きた場合の対処方法をしっかりと認識し、落ち着いて過ごすことが発作の予防に繋がります。
うつ病
さまざまな症状が現れるうつ病ですが、実は他の病気を併発しているケースもあるため、身体面で心配な点があれば、速やかに医療機関で診察を受けましょう。
症状
食欲不振や睡眠障害、動悸、倦怠感、性欲の減退などがあり、精神症状としては抑うつ、興味や関心の減退、無気力、決断力の低下、不安、絶望感などが挙げられます。人によって出る症状が異なります。
原因
うつ病の発症には脳の働きが大きく関わっていると言われています。全てが解明されたわけではないものの、脳の機能低下によって、日常生活をまともに送ることができない状態になってしまいます。
なりやすい人の傾向
うつ病になりやすい人としてよく挙げられるのが、真面目・責任感が強い・完璧主義といった性格を持つ人です。このような性質を持つ人は、うつ病に注意する必要があると言えるでしょう。
治療法
うつ病の治療は「十分な休養」と「薬物療法」を合わせて行うのが一般的。本人の状況や性格などを考慮しながら治療を進めていきます。
予防法
うつ予防のためには、1日3食をしっかりと摂る、ストレスの解消方法を自分で見つけておくといった工夫が必要です。いずれにしても、生活の中で無理をしすぎないことが非常に重要です。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、別名バセドウ病とも呼ばれている病気です。
症状
心臓がドキドキするほかに、疲れやすい、体重の低下、よく眠れない、汗をかきやすいといった症状が代表的。複数の症状が同時に出ることが多く、その出方は人によって異なります。
原因
血液中の甲状腺ホルモンが増加することにより、さまざまな症状が現れます。大きなストレス等が加わると症状がさらに重くなってしまうことがあるため、気になることがあったら早めに専門の医師に相談することが大切です。
なりやすい人の傾向
男性と比べて女性の方がかかりやすい傾向があります。特に、20代から30代の女性が発症するケースが多くなっています。
治療法
治療法は大きく分けて、薬物治療、手術、放射線ヨウ素内服療法の3つがあります。第1選択となるのは薬物療法ですが、およそ2年継続しても薬を中止できる目処が立たない場合には、ほかの二つの治療法が選択されることもあります。
予防法
甲状腺機能亢進症の予防方法は今の所はっきりしていませんが、近親者にこの疾患がある人がいる場合、特に注意が必要です。気になる症状があったら、早めに医療機関を受診しましょう。
更年期障害
動悸の症状は、更年期障害によって引き起こされる場合もあります。
症状
動悸やのぼせ、ほてり、冷え、頭痛、めまい、食欲不振、不眠、憂うつなど。症状は多岐にわたっているだけでなく、その出方も個人差が大きいという特徴があります。
原因
女性は年齢を重ねることで卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が減少します。そのため、ホルモンバランスが崩れて心身に影響が出てくることがあります。仕事・家庭といった環境面の影響も大きいと言われています。
なりやすい人の傾向
更年期障害の症状は誰にでも出る可能性がありますが、ストレスを感じやすい人は特に症状が重くなる傾向があります。
治療法
ホルモン療法や抗うつ剤・抗不安薬などを用いる薬物療法と心理療法が用いられます。治療は症状や患者の性格をふまえて進められるため、症状や普段の様子などをメモしておくと、その後の治療に役立つ場合があります。
予防法
ホルモンの影響により症状が出るため、完全に予防するのは難しいものの、日々の食生活を整えたり、ストレスを貯めない生活によって症状の悪化を予防できると言われています。
期外収縮
期外収縮とは不整脈の一種。正常な拍動の中で、時々不規則な拍動が見られるもので、心臓に異常がない人にも見られる症状です。
症状
不規則な拍動が起こったときには、胸がドキドキする動悸の症状や、胸が詰まったような感覚、胸の不快感などを感じることがありますが、ほとんどの場合は問題のない症状です。
原因
期外収縮の原因としては、アルコールやコーヒーの飲みすぎ、飲酒、疲労、ストレスなどが関連していると考えられています。また、不整脈は加齢も影響しています。
なりやすい人の傾向
アルコールやコーヒーなどを多く摂取している人、疲労やストレスが蓄積している人に起きる傾向があります。
治療法
問題のない期外収縮の場合は、期外収縮の原因を改善に取り組むことになります。例えば疲労やストレスが蓄積しているのなら積極的に休養をとるなどして、「気にしすぎない」ことが重要です。
予防法
飲酒を控えたり睡眠時間を確保することで、症状が落ち着くことがあります。また、不安感やストレスを感じている場合には、気の合う仲間と会うなどして気晴らしをすることもおすすめ。ただし、期外収縮の中には心臓の病気が原因の場合もあります。胸に痛みなどを感じる場合には、早急に医療機関で検査を受けましょう。
冠攣縮性狭心症
狭心症の中には「冠攣縮性狭心症」と呼ばれるものがあります。日本人に多いタイプの狭心症と言われており、冠動脈の痙攣によって血液の通り道が狭くなり、狭心症を起こしてしまうという疾患です。
症状
安静時に起こりやすいため「安静時狭心症」とも呼ばれます。夜間や早朝、朝方など安静にしているときに胸の痛みとともにドキドキするような場合には冠攣縮性狭心症を疑い、医療機関を受診しましょう。
原因
はっきりとした原因はわかっていないものの、喫煙や飲酒、ストレスが関与していると指摘されています。特に、日本における冠攣縮性狭心症の発症例を見ると、高確率で喫煙者がいることがわかっています。
なりやすい人の傾向
上記の通り、喫煙習慣のある人は特に発症しやすい傾向があります。「狭心症」と聞くと、高齢者・高血圧というイメージが強いと思いますが、冠攣縮性狭心症は若い人でも、健康な人でも関係なく発症します。また、男性の方が女性よりも発症率が高いことがわかっています。
治療法
生活習慣を見直すことによって発症を抑えることを目指します。特に喫煙習慣がある人は喫煙に取り組むことになりますが、それでも症状が出る場合には薬物療法が用いられます。
予防法
まずは喫煙の習慣をやめること。さらに生活習慣を見直してストレスを貯めない生活を心がけることが冠攣縮性狭心症の発症予防に繋がります。
冠攣縮性狭心症のについて詳しく知りたい方は、血管の異常収縮が引き起こす「冠攣縮性狭心症」もチェックしてみてください。
心臓がドキドキして眠れない時に受診すべき病院
動悸で眠れない時にはさまざまな原因が考えられますが、もっとも警戒しなくてはならないのは心臓の病気。もし動悸が狭心症・心筋梗塞の前兆だった場合には命に関わります。
そこで、心臓に関する病気の診療を実施している、都内の病院を紹介しておきます。心臓の病気が原因ではないと判明した場合には、状況に応じて内科・心療内科などの医院を受診してください。どの診療科で診てもらえば良いかわからないという場合、まずはかかりつけの医師に相談してみるのが良いでしょう。
- 各種心疾患検査が受けられる、大田区萩中の病院
- 住所:東京都大田区萩中1-9-16 カレル萩中1F
- 電話番号:03-3745-0810
- URL:
萩中ハートフルクリニック
- 不整脈、狭心症、弁膜症などの診療が可能な練馬の地域医療ドクター
- 住所:東京都練馬区春日町5丁目33-30 メディカルガーデン春日町1F
- 電話番号:03-5971-8550
- URL:
ハートクリニック練馬春日町
- 他院と連携して退院後のフォローも任せられる
- 住所:東京都文京区千駄木3-43-3 ATK千駄木ビル1F
- 電話番号:03-3822-8010
- URL:
むらい内科・循環器クリニック
状況に応じて、さらなる専門病院への受診が必要となる場合があります。 下記は不整脈治療に精通している専門病院の一例です。
- 循環器疾患専門研究機関の附属病院
- 住所:東京都港区西麻布3-2-19
- 電話番号:03-2408-2151
- URL:
心臓血管研究所付属病院
- 緊急度の高い心疾患には24時間体制で対応
- 住所:東京都港区西新橋3-19-18
- 電話番号:03-3433-1111
- URL:
東京慈恵会医科大学付属病院
- 国内初の日本心臓血圧研究施設である心臓病センターを持つ
- 住所:東京都新宿区河田町8-1
- 電話番号:03-3353-8111
- URL:
東京女子医科大学病院
- 24時間体制であらゆる心疾患に対応する特定機能大学病院
- 住所:東京都新宿区信濃町35
- 電話番号:03-3353-1211
- URL:
慶應義塾大学病院
「異常なし」と診断されたのに症状がおさまらない場合
注意しておきたいのが、病院で「異常なし」と診断されたのに症状がおさまらない場合。そもそも、ストレスや不安といった精神的な要因によって動悸が起きている時は、その原因自体をはっきりと特定することは困難です。さらに、適切な診療科を受診しなかったことで、正確な診断が受けられなかった、という可能性も考慮しておくべきでしょう。
ただし、どんな診療科でも異常が発見できないのに、突然死の怖れがあるケースもあるということを覚えておいてください。その代表的なものが「血管の異常収縮」。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、健康な状態の人でも前触れなく起き、狭心症や心筋梗塞に繋がるリスクもあるという恐ろしい現象です。
実は、その予防法については、山口大学小林教授の研究によってメカニズムが判明するまで、はっきり判っていませんでした。もし自分の症状が「血管の異常収縮」によるものかもしれないと心配な方は、自分の身を守るために、しっかりと対策しておきましょう。
参考文献・資料
[1] 不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)【PDF】
[2] 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)【PDF】
[3] 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)【PDF】
[5] 公益財団法人 日本心臓財団「再び注目されている冠攣縮性狭心症ってどんな病気?」
[6] 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS「虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
[9] 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「パニック障害・不安障害」
[10] 塩野義製薬・日本イーライリリー「うつ病 こころとからだ」



